大学院に通う主人公バルバラは
レンタルビデオ店で働くハンサムな店員
ニコラに出会う。
急速に惹かれ合った二人はすぐに同棲を開始。
やがて妊娠が判明する。
バルバラは妊娠に伴う目まぐるしい
身体の変化に戸惑うばかり。
出産してからも初めての育児に戸惑い
更に夫婦の関係も上手くいかなくなったりと
悩む主人公を綺麗事なしで描いている(と思う)。
いきなり男女の悩ましい声から物語は始まる。
でもそれがないとこの物語は成立しないし、
始まらない。
妊娠が分かって二人で喜びを噛み締めた
と同時にバルバラは心身共に絶不調に陥る。
まずは有名なつわりからスタート。
それからはテンポよく食欲増進、昼夜逆転、
情緒不安定、"ホルモンの嵐"と
妊娠中に起こる主な身体の変化が描かれていく。
なんだか妊娠ってPMS・PMDDの
延長みたいな感じだなと思った。
(ホルモンの変化という点では同じだから?)
これが下手したら人によっては出産するまで
続く場合もあるとか想像しただけで地獄...。
でもずっと体調が悪いとは限らない
みたいだし、それを乗り越えて順調にいけば
可愛い赤ちゃんに会えるって想像しただけでも
胸がきゅーんとなる。
お腹の中にもう一つの命があるって
一体どんな感覚なんだろう?
正直ちょっと怖い気もするけど、
愛する人との命だったらきっと愛しくて
たまらないんだろうなー。
なによりバルバラの夫ニコラが
本当に素敵な旦那様!
バルバラは性格的に神経質というか
どこか冷めている所があるけれど、
ニコラは深い包容力と適度な受け流しが
できるキャラクターだから
バルバラが感情的になっても
ちゃんと言い分を聞いてくれて
尚且つそれなりの対処法を提案してくれる
から相性としては完璧な気がする。
まさに理想の夫。
また出産シーンが凄い。
本当に痛みに耐えているように見えたし、
産まれるまでBGMとかないから
こっちが緊張してしまうくらいのリアリティーがある。
(バルバラ役のルイーズ・ブルゴワンは
あまりにも役に入り込みすぎて
気絶してしまったらしい)
時々来る陣痛に顔をしかめるバルバラ。
一方ニコラはというとバルバラに寄り添いつつ
間違えて靴用のキャップを頭に被ったり、
痛みに苦しむバルバラの近くでバランスボール
に乗りながらバーガー?を食べて
ニコニコしたりとかなり自由なご様子(笑)
これ実際バルバラの立場になったら
腹が立つかもしれない(^^;
お願いだから一旦ここから出ていってと。
そんなこんなで前半は出会いから
妊娠中のこと、出産を分岐点にして
後半からは子育てのことや夫婦の関係
バルバラの母親や義母との冷戦などが描かれている。
特に後半のバルバラの様子は観ていて
本当に辛そうだった。
初めての育児に戸惑いっぱなしで
体も心もすり減る一方。
夫は仕事、自分は論文を書かなきゃいけないし
一人で子どもの世話をしなければいけない。
まだ身体が本調子じゃない上に
いつも寝不足で、
泣き続ける我が子に頭を抱えながらも
家のこともしなきゃいけない
定期的に母乳を与えなきゃいけない
オムツだって寝かしつけだって全部。
母親だから当たり前?
だけど一人じゃ体も心も壊れてしまう。
というより壊れかけてる。
気分転換もできず、
まともに1年外出できていない。
ほとんど子どもと二人っきりで
愛しているのにずっと泣いてばかりの状態。
助け船として渋々義母に頼るけど、
意見の食い違いで益々ストレスが
溜まるだけのようだった。
この義母とのシーンで
ウェスタンっぽいBGMがかかったのが
ちょっと面白かった。
でも当事者たちは笑えないくらい
水面下でバチバチバトル(*_*)
(そうか...結婚して子どもが産まれたら
二人だけの問題じゃなくなるんだよな...)
バルバラの母親はいわゆる"毒親"
バルバラがお腹にいる時普通にタバコも
お酒も続けていたけど健康に産んだとか、
LSDをやって娘とドライブに行ったとか
とにかくエピソードがブッ飛びすぎ!!!!
でもやってることは極端だけど
言ってることは少し的を得てるように思えた。
「完璧な母親はいない」をモットーに
自分なりの愛情でほぼ女手一つで
子どもを育て上げたバルバラの母。
そんな母親にうんざりしながらも
母を求めるバルバラ。
この母と娘の衝突や持ちつ持たれつの関係は
共感する人も多いかもしれない。
【お気に入りシーン】
・エコーの映像を見て嬉しさを噛み締めているニコラが素敵。
・二人で胎動を感じる為に、
食事中も歯を磨いている時もずっとニコラが
バルバラのお腹に手を当てていたシーンが
凄く好き。
・出産後病室でバルバラと娘(レア)が
一対一になるシーン。
レアが泣きそうになったので
一瞬ナースコールを押そうとするけど、
それはせず初めての授乳に挑戦する。
一所懸命に母乳を飲む我が子を見て
微笑みながら涙を流す姿に深く感動した。
また外は雪が降っていて
ロマンチックなシーンだった。
・バルバラが育児に疲れ果てて
実家へ帰るシーンで娘を優しく抱きしめる
母にグッときた。
・バルバラが実家へ帰っている間、
仕事をしながら(家族を養う為にレンタルビデオ店員から正社員になった)
レアの世話をするニコラのシーン全部。
特にバルバラがレアを優しく
寝かしつけている映像を、
目に涙を溜めながら見つめる姿は
二人への愛が溢れていて大好きなシーン。
結婚・妊娠・出産・育児は
女性にとって本当に幸せなことなの?
と裏パッケージに書いてあったけど、
人によって幸せと感じることは異なるし
幸せだと思っていても幸せだと思えない
場合だってあるかもしれない。
こうやって疑問を抱いたり、
選択できるというのも言ったら
幸せなことなのかもしれない。
今は昔より多様なライフスタイルや
事情が存在していると思うので、
一概にもこれらのことが女性にとって
幸せとは言い切れないのかもしれない。
でも実際に体験してみたら
本当に幸せなことなのかもしれない。
なんだか"かもしれない。"ばかりだけど
そう思う。
また大きく言えば
基本的に幸せって持続するものではなく
ふとした瞬間に感じるものだと思うので、
そのふとした瞬間の為に生き続けて
幸せへの努力を重ねるのかもしれないなー。
本当に色々と考えさせられる映画だった。