ありふれた溢れ出る感想ブログ

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『ホワイト・ラバーズ』過去に苦しめられる男女が白銀の世界で人生を生き終える。

北極圏の小さな町で、過去の苦しみを消化できないまま生きていた2人の男女と喋るシロクマがメインの物語。

ルーシー(タチアナ・マズラニー)が大学に進学する為と"ある人物"から逃げる為に町を出ることを決断し一時的に離れることになったのだが、
互いの傷を舐め合っていた関係を簡単に止められる訳もなく、ローマン(デイン・デハーン)はそのショックで酒に溺れ、ルーシーに別れと暴言を吐き、挙げ句に自殺を図ろうとした為措置入院させられる。

もう離れられないと悟った2人は後ろを振り向くことなくただただ白銀の世界を突き進んでいく_


大体の映画は開始10~15分くらい経ったらその作品の世界が分かり始めると思っているのだが、なかなか状況が読み取れず、やっとローマンの過去の語りでなんとなく理解ができた。
でもやっぱり見終わってみて「何なんだろうこの気持ち...」というような思いがふつふつと沸き上がってモヤモヤしてきたので、
とりあえず素直に感想を書けば気持ちが整理されるのではないかと思って書いている。

まず2人の男女について。
ローマンは母親や自分に暴力をふるっていた父親を派手に殴り返してそのままこの町へ逃げてきた過去を持つ。
ルーシーは父親に性的暴行を受けた過去を持ち、父親が死んでからも幻覚に悩まされている。

ローマンはシロクマと話せる能力を持っていて、度々現れるシロクマと会話を交わす。
見た目はリアルなシロクマで声は渋い中年男性なのだが、その言動もなかなか渋い。
最初ローマンの中の幻覚なのかと思っていたけどそうでもなさそうだし、
ローマンのことを見透かしている感じが物語にスパイスを加えていた。

過去にトラウマがあると、無意識にどうしてもそれを基準に先の未来を考えてしまって足が止まってしまうか、今目の前にあるものを全部投げ出したくなることがある。
その消化できない気持ちはふとしたきっかけや、またはなんの前触れもなく襲ってくることがあるので本当にたちが悪い。
だからルーシーとローマンの決断はよく分かるし、
行きすぎてるとは言え彼らなりの決着の付け方や答えがラストシーンなんだと時間が経つにつれて思った。

それと最近観た映画の中でセックスシーンがリアルで迫力があった。
けして意味のないセックスシーンではなく、展開されていく中で2人の微妙な気持ちが表されていて良かった。
トラウマに苦しんで自暴自棄になって、意識が死へと向かうにつれて激しく求め合う様は僅かに残った生に対するエネルギーが感じられた。


やっぱり書いていくうちに作品がストンと胸に落ちてモヤモヤがなくなってきたし、
見終わってすぐよりも時間の経過と共にじわじわと彼らの人生が染み渡ってきて余韻が長い映画だった。
1度目視聴より全て理解して飲み込んだ2度目が良かった。
ホワイト・ラバーズ 予告